漫画「封神演義(ほうしんえんぎ)」の魅力や面白さについて

橙的に面白いと思ったポイント

最初に管理者がこの作品を面白いと思ったポイントを紹介します。

・古代中国の小説なのに漫画にしたからかあまり古さを感じない。

・主人公が怠け者だが、やるときはやる男。

・中国の神話大系を漫画で楽しく知ることができる。

・中国の歴史・神話・空想が入り乱れている。

1巻のあらすじ

中国の古い神怪小説を漫画として描きあげられた作品です。

「仙人界」で仙人を目指して修行中の道士:太公望師叔(たいこうぼうすーす)が修行を怠けるため、師匠である元始天尊さま(げんしてんそん)に呼び出されます。

師叔は元始天尊さまから、「人間界の殷王朝(いんおうちょう)」の王をたぶらかし、国を乗っ取って好き放題やっている妲己(だっき)以下365名の仙人の名前が書かれた「封神の書(ほうしんのりすと)」を渡され、リストの者たちを倒すように言われます。

仙人や道士の殺し合いはご法度ではと問う師叔に対し、人間界にいる仙人・道士を倒すと「封神台(ほうしんだい)」と呼ばれるところに魂が飛んでいき封印されると説明を受けます。

仙人や道士は魂さえあれば蘇らせることができるため、殺しにはならず最終的には新たに作られる「神界」住人とすることになっているとも説明を受けます。

数日考えた師叔は「封神計画」を受けることにし、元始天尊さまから大気を操る宝貝(ぱおぺい)の「打神鞭(だしんべん)」と霊獣の「四不象(すーぷーしゃん)」を与えられ、計画をスタートしていきます。

スタート直後、封神計画を聞いていた申公豹(しんこうひょう)が師叔の実力を測るために襲い掛かり、最強の宝貝「雷公鞭(らいこうべん)」攻撃されます。

師叔と四不象はギリギリのところで雷公鞭の攻撃を退けて命からがら逃げだします。

妲己の思い付きで、異民族の村を襲撃しようと陳桐(ちんとう)という仙人が軍を率いて動き出します。

お腹を壊した師叔が近くの村で胃薬をもらっているころ、その村に向けて陳桐の率いる軍勢が進軍してきます。

薬のお礼として村近くの川の水を酒に変えた師叔は、村人たちと一晩中さわいで酔いつぶれ、翌朝、村に到着した陳桐の軍勢に村人全員とともに師叔が捕まってしまいます。

すぐに捕縛を抜け出した師叔は妖怪仙人であった陳桐と戦い、倒して初めての封神を行うのでした。

王都に戻った師叔と四不象は銭稼ぎのため占いを始め、よく当たるとの評判が流れ、商売が軌道に乗ってきたところに次の刺客として、妲己の妹分王貴人(おうきじん)が襲い掛かってきます。

単行本はこのあたりで1巻が終わっていたような気がします。(単行本で読んでいたのは20年前なので…、記憶があいまいですいません。)

現在発売されている「封神演義 完全版」の1巻には、師叔の策略で倒された王貴人の本体である「石琵琶」人質にとって妲己の根城に乗り込みますが、師叔以上の策士である妲己に手酷くやられて、立ち直るところ仙人により作られた宝貝人間哪吒(なたく)登場するところまでの話が描かれています。

出典:封神演義 完全版 コミックス1巻より

橙がなぜ面白いと思ったのか

・古代中国の小説なのに漫画にしたからかあまり古さを感じない。

背景や設定は古代中国の殷王朝時代を舞台にしているのですが、魔法のような強大な力を使える仙人や道士が登場します。

その仙人や道士が善と悪に分かれて、普通の人間たちを巻き込みながら、強大な力をもって、争いを繰り広げていきます。

宝貝という、今の異世界ものでいうところの魔道具のようなものを仙人や道士が使い、魔法のような強大な力を使って争いあうところや、普通の人間たちも仙人や道士と協力しながら敵を倒していきます。

古代の小説がもとになっているわりには、今の異世界ものの設定や背景にもマッチしそうな舞台づくりから、今の人間も昔の人間も非現実的な力や現象に対して、畏怖の念や憧れる気持ちというものは変わらないのだなと思えるところが面白と思いました。

・主人公が怠け者だが、やるときはやる男。

主人公の師叔は元始天尊さまにその潜在能力を高く評価されスカウトされたのですが、修行が嫌いで瞑想と言いつつ、寝ているような怠け者です。

ただ、仙人界に来た当初は仙人を目指して、一生懸命修行をしていたようで、怠け者となったのはこの話の始まる少し前からのようです。

元始天尊さま曰く、人間界の混乱状態に気を病んだ師叔が人間界で修行させてもらうための芝居としての怠け者ではないかというのです。

師叔は怠け者でお調子者として描かれており、四不象からもあきれられてることが多いのですが、敵を欺くためや人間界の人々を争いに巻き込まないため、いろいろと策を弄して敵を次々と倒していくところに面白さを感じています。

・中国の神話大系を漫画で楽しく知ることができる。

話の終盤で女媧(じょか)や伏犠(ふっき)といった古代中国の神話大系の登場人物たちが出てきます。

そして、妲己や哪吒は中国の他の神話に出てくる人たちでもあり、いろいろな神話の登場人物が出てきて、そこについても話の中で解説してくれています。

古代中国の歴史上の人物や神話に出てくる登場人物が描かれており、中国という国の神話大系はこのような話なっているのかと、知ることのできるところが面白いと思います。

・中国の歴史・神話・空想が入り乱れている。

先のポイントで話したように、神話の登場人物や話が出てくるところや、本当に存在した歴史上の人物や王朝、出来事なんかが話の主軸として描かれています。

それだけではなく、仙人や道士といった架空の人物が宝貝や霊獣といった架空の道具や生物を扱い戦う話になっています。

本当の中国の歴史に中国で語り継がれている神話の要素が加わり、さらには古代中国の人が想像した内容も加えられて作り上げられた話に面白さを感じる作品です。

古代中国の歴史あり、神話あり、空想ありの面白い作品です。

興味を持った方は一度、読んでみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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